火災が発生していない限り、電子部品のファブやメーカーは最大稼働で先端部品の生産に励んでいます。現在の部品不足問題は、必ずしも「不足」が原因ではありません。問題は、サプライが現在の需要に追いついていない点です。なぜIntelやTSMCがアリゾナで数十億ドル規模の新規ファブ建設計画を発表したのでしょうか?
在宅勤務、リモート学習、隔離期間を過ごすなら新しいテレビやゲーム機を購入しようという消費者心理。こうした要因も、先端半導体への需要拡大に拍車をかけています。
仮想通貨マイニングの影響
ビットコインやイーサリアムといった代表的な仮想通貨の台頭が、現在の部品不足で最大の要因と言えるかもしれません。
グラフィックスカード(GPU)や特定用途向け集積回路(ASIC)は、仮想通貨マイニングに欠かせないコア部品です。これら先端エレクトロニクスは、ゲーム機やテレビ、パソコン、自動車などと多くの共通部品・電子部品を含みます。なぜ仮想通貨マイニングがここまで電子部品不足を加速させるのか、世界各地のマイニング施設を見てみましょう。
こちらはワシントン州の仮想通貨マイニング施設です。大量のハードウェアが稼働しています。
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こちらはロシア最大規模のマイニングオペレーションです。
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壁一面に並ぶGPUとASICは、ただひとつの目的のために稼働しています。
さらに、北の隣国も忘れてはいけません。こちらはケベック州のマイニング施設です。
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イメージが湧いてきましたか?これらのマイニング施設は、数千ものGPUやASICを使ってデジタル通貨を採掘しています。今や「ビットコインはアルゼンチンよりも多くの電力を消費している」などという記事があるのも驚きではないでしょう。
消費者向けや自動車分野の先端チップ需要も急騰している中、仮想通貨マイニングはさらに部品不足に拍車をかけています。
実際、GPUメーカーのNVIDIAは自社製品の仮想通貨マイニング利用を制限する措置も講じています。最新のグラフィックスカードは、仮想通貨マイニング用途で使う場合に効率が50%低下するよう設計されています。これはNVIDIAがマイニング市場を敵視しているのではなく、消費者向け需要への影響を最小限に抑えたいという狙いです。そのため、NVIDIAは仮想通貨マイニング専用のグラフィックスカードも別途生産する計画です。これにより、消費者とマイナーが同じGPUを奪い合う状況を避けられます。
仮想通貨マイナーによってどれほどの先端ハードウェアが消費されているかを示す事例として、NVIDIAによれば2020年第4四半期の売上の最大6%がイーサリアム採掘業者によるものだったと推定されています。ちなみにイーサリアムはビットコインに次ぐ時価総額を誇る仮想通貨です。
一方、AMDは採掘効率を意図的に下げるようなチップを生産する予定はないと公表しています。つまり、NVIDIAはマイナー向け新市場を創出し、AMDはマイナーと消費者に自由競争を委ねるという構図です。果たしてどちらの戦略が優勢となるのでしょうか。
なぜマイニングはここまで人気なのか
資本主義的なビジネスとして、仮想通貨マイニング人気は最近になって急速に高まりました。きっかけは2020年秋の仮想通貨価格の急騰です。価値が上がれば上がるほどニーズは拡大します。シンプルな原理です。
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収益性が続く限り、巨大マイニング施設はGPUやASIC、そしてそれらに不可欠な先端半導体を吸収し続けるでしょう。
マイニングブームとともにGPUやASIC需要が急増する中、多くの企業は事前対応ではなく、供給不足発生後の対処に追われました。ここで重要なのが、サプライチェーンリスク管理(SCRM:Supply Chain Risk Management)です。2021年の部品不足などの混乱を単なる一過性イベントと捉えるのではなく、SCRMフレームワークにより常時サプライヤ依存や部品レベルのリスク、需要変動シグナルを業界横断でモニタリング可能になります。仮想通貨マイニングが民生用・自動車用と同じ半導体を大量消費する中、調達を後追いで行ってきた企業ほどリードタイムやコスト増加の影響を強く受けました。現代的なSCRMソフトウェアを活用すれば、サプライチェーンを多層的に可視化し、リスクのある部品を早期発見して、代替調達先を事前に確保できます。不確実な市場状況を、データドリブンで管理可能な意思決定へと転換できます。