2021年COVID:重要な電子部品サプライヤ拠点国の感染状況・ワクチン接種率

電子部品サプライチェーンにおける主要サプライヤ拠点がある複数国のCOVIDデータを詳細に分析します。

2021年COVID:重要な電子部品サプライヤ拠点国の感染状況・ワクチン接種率

重要な電子部品サプライヤは世界各地に存在します。当然のことです。そして現在のパンデミックが「グローバル」なものであるため、主要な電子部品サプライヤを有する多くの国々でもCOVID感染者数が増加し影響を受けています。オランダやドイツから米国、インドまで、各国のCOVID感染者数とワクチン接種率のデータをまとめました。

パンデミック発生から約1年が経過した今、このデータに目を向けてみましょう。

オランダ・ドイツ

4月時点で、ドイツのバイエルン州(Kemet、TI、Vishayといった企業の拠点あり)では、新規感染者の7日間移動平均が大幅に増加しました。

7 day moving average of covid

この移動平均は12月・1月に比べてはるかに悪化していましたが、バイエルン州の数字は、NexperiaやNXP SEMICONDUCTORSが拠点を置くオランダ・ナイメーヘンの数字と比べると、より深刻に思えます。しかし、見かけは必ずしも実態を表しません。さらなるデータをみると、オランダはドイツよりもCOVID関連の混乱リスクが高いことがわかります。

オランダ・ドイツ COVIDデータ
累計感染者数人口10万人あたり感染者数
ナイメーヘン・オランダ12,0276,805
バイエルン・ドイツ529,6694,036
完全接種済み人数(人口比)感染者あたり死亡率
オランダ4.8%0.3
ドイツ6.2%1.3

ナイメーヘンの移動平均はバイエルン州よりかなり低いものの、人口10万人あたりの感染者数は実はオランダ側が高くなっています。また、オランダのワクチン接種率は累積感染者数の増加スピードを上回っておらず、ドイツのワクチン接種率は3月以降、累積感染者数を超え始めました。

Netherlands data

Germany data

5月5日時点で、ドイツは少なくとも人口の8%が完全接種を終え、30%弱が少なくとも1回目の接種を受けています。オランダは完全接種率が5.5%、1回以上の接種率が25.7%です。

オランダはワクチン接種でドイツにやや遅れをとっていますが、現時点ではどちらもCOVID関連の大きな混乱リスクは見受けられません。

日本・韓国

昨年末、主要メディアは韓国とその市民のパンデミック封じ込めを称賛していました。

たしか、捕らぬ狸の皮算用という話もありましたね。

ソウル(Intel、Maxim、Samsungなどの重要な電子部品サプライヤやファブが集積)では、1月上旬に7日間移動平均が過去最高となり、その後も4月まで昨年の記録を上回っています。

Moving average of covid in Japan and South Korea

一方、サムスンの工場がある日本の福井では、パンデミック発生以来、移動平均が低水準で推移してきました。これは大きな成果と言えます。

それでも日本と韓国全体を見ると、ワクチン接種率にもっと危機感を持つべきでしょう。4月時点での完全接種率は日本が0.5%、韓国はわずか0.1%にとどまっています。

Japan Vaccinations

日本ではワクチン接種者数が累計感染者数を上回っていますが、これはワクチン接種の進捗というより、日本が感染拡大防止に成功してきたことを示すグラフです。感染者数が少ないため、パンデミックによる混乱リスクも比較的低いまま保たれています。

他方、韓国は首都圏(人口10万人あたり感染者数を参照)で感染抑制にはやや苦戦している状況です。

日本・韓国 COVIDデータ
累計感染者数人口10万人あたり感染者数
福井・日本65383
ソウル・韓国33,827345
完全接種済み人数(人口比)感染者あたり死亡率
日本0.5%0.8
韓国0.1%0.6

しかし、4月には韓国で接種者数が急増していることから、接種体制の強化が進んでいることがグラフからわかります。

South Korea COVID Cases

日本と韓国のワクチン接種計画には今後も注目です。現状では「順調」と言えますが、メディアは一転して厳しい論調となっています(2020年の対応を称賛したものの、2021年の接種遅れで手のひら返しが起きているのかもしれません)。

米国・インド

米国は2020年に厳しい状況にあり、2021年初頭もカリフォルニア州(Cisco、BROADCOMなど工場多数)をはじめ新規感染者の7日間移動平均が増加傾向でした。

US and India COVID Cases

しかし、ワクチン接種の展開によって新規感染者数が4月以降減少し始めました。一方、インドは状況が悪化し、7日間移動平均は3月以降400%以上も増加、ワクチン接種率からみても急速な好転は期待しにくい状況です。

米国・インド COVIDデータ
累計感染者数人口10万人あたり感染者数
カリフォルニア・米国3,595,2249,132
マハーラーシュトラ・インド3,343,9513,269
完全接種済み人数(人口比)感染者あたり死亡率
米国22.4%1.1
インド1.0%0.6

インドの完全接種率は4月時点で1.0%ですが、5月には2.2%まで上昇しており、今後への期待材料です。

一方、米国では完全接種率が22.4%から5月には32.7%に上昇。接種者数が累積感染者数を上回ったことは大きな前進です。

US COVID Cases

インドは累積感染者数に対していまだ接種率が追いついていませんが、着実に増加傾向です。

India Vaccinations

インドが今後も月ごとに接種率を伸ばせれば、新規感染者の極端な増加も減少傾向になるはずです。

シンガポール・台湾

2020年は困難もありましたが、シンガポールはCOVIDによる課題を克服しています。台湾については、そもそも困難そのものがなかった印象です。

Singapore and Taiwan COVID Graph

シンガポール・台湾 COVIDデータ
国名累計感染者数人口10万人あたり感染者数
シンガポール60,6011,037
台湾1,0565
国名完全接種済み人数(人口比)感染者あたり死亡率
シンガポール9.2%0.1
台湾0.1%0.9

台湾・シンガポールともワクチン接種率が感染者数を上回っています。これは日本と同じく、各国のウイルス拡大抑制力を示しており、必ずしもワクチン供給や接種体制の強さを意味するものではありません。

Singapore COVID Graph

Taiwan COVID Graph

今後、潜在的な感染拡大を回避するには両国とも接種率のさらなる向上が必要です。